日本臨床外科医学会雑誌
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結腸穿孔をおこしたアメーバ症の1例
堀 明洋鳥本 雄二二村 雄次塩野谷 恵彦
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キーワード: アメーバ症, 結腸穿孔
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1989 年 50 巻 2 号 p. 335-338

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抄録
症例は75歳の男性で血性下痢で発症した.注腸造影ではS状結腸に狭窄像,上行結腸から盲腸にかけ腸管内の陰影欠損像がみられた.大腸内視鏡検査では上部直腸より口側に白苔を有する潰瘍が散在性にみられた.腹膜刺激症状が増強したため開腹手術を施行した.腹腔内には混濁した腹水がみられ,上行結腸盲腸部では周囲膿瘍を形成し,S状結腸では2ヵ所で穿孔していた.回盲部切除,直腸S状結腸切除を施行した.潰瘍は散在していたが隣接する潰瘍との癒合がみられ壊死状であった.組織学的にEntamoeba histolyticaが証明され治療されたが多臓器不全で死亡した.アメーバ症は現在日本ではまれな疾患とされているが,右側結腸・S状結腸にみられた炎症性腸疾患では,アメーバ症も念頭におき虫体の検索を施行することが肝要である.
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