日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
肝嚢胞症に対するアルコール注入療法4例の経験
炭山 嘉伸武田 明芳
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 50 巻 2 号 p. 344-348

詳細
抄録
1981年Beanにより超音波ガイド下の腎嚢胞内アルコール注入が報告され,その後肝嚢胞に対しても良好な成績が報告されている.当科において本法を施行するにあたり,S2, S3の嚢胞に対する外側区域切除とS4の嚢胞摘出術を予定した症例に対し,術前S2,S4の嚢胞内にアルコール注入をおこない.摘出標本を組織的に比較検討した結果,アルコール注入療法の有用性が確認された.この症例を含む4例の経験では,穿刺による合併症はなく,巨大嚢胞症例においてはcatheterを留置し,必要に応じてアルコールの再注入をおこなかった.現在までの4症例ともアルコール注入により嚢胞の縮小,消失が得られており,再発,増大傾向はなく,本法の有効性を高く評価したい.
著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top