日本臨床外科医学会雑誌
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横行結腸間膜,大網に気腫を生じた外傷性十二指腸乳頭部断裂の1例
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石崎 陽一登 政和竹田 泰七條 祐治
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1989 年 50 巻 5 号 p. 954-958

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抄録

症例は19歳の女性.交通外傷腹部打撲後に当院を受診した.腹部単純写真,CTにて消化管外の気腫像,ガス像を認めた.また術前に内服した水溶性造影剤が腹部単純写真で腎盂造影として認められた.上記より十二指腸穿孔と診断し受診13時間後に開腹した.開腹所見では十二指腸乳頭部が完全断裂し,後腹膜腔は流出した胆汁で汚染していた.横行結腸間膜,大網には大量の空気が入り込み気腫状になっていた.以上より十二指腸乳頭部を温存する手術は不可能と判断し膵頭十二指腸切除術を施行した.術後イレウスのため癒着剥離術を施行したがその後の経過は良好で入院後84日で退院した.十二指腸後腹膜穿通の画像診断に横行結腸間膜,大網内の気腫像が重要であった(Omental bubble sign).この気腫像の発生経路には横行結腸間膜を介する経路と胃結腸間膜を介する経路とが考えられた.さらに水溶性造影剤内服後の腎盂造影は消化管穿孔を示す重要な所見であった.

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