腹部精査中に超音波検査により偶然発見された内分泌非活性副腎皮質腺腫の1切除例を報告する.41歳,女性.右季肋部痛,感冒様症状のための近医受診し,腹部超音波検査にて偶然に右副腎腫瘍が発見された.内分泌的臨床症状なく,血清および尿の内分泌学的検査正常範囲.腹部computed tomography (CT)で肝右葉前後下区域から右腎上極にかけてlow densityを示す腫瘤,右副腎動脈造影ではhyper-vascularな右副腎腫瘍を認めた.切除腫瘍は被膜に覆われ,弾性軟,均一な充実性黄色調,9.2×9.0×7.4cm,325gで病理組織は良性副腎皮質腺腫と診断された.近年,超音波,CT検査の普及により,副腎腫瘍の報告例が増加しているが,内分泌非活性副腎皮質腺腫の報告例は45例にすぎない.術前検査では,内分泌非活性副腎皮質癌との鑑別が困難な場合がある.このため特に小腫瘍においては手術適応を慎重に考慮しなければならない.