抄録
最近われわれは,左腎周囲脂肪織より発生したと思われる巨大脂肪肉腫で完全摘出した1例を経験したので報告する.患者は70歳の男性で,主訴は腹部膨満感であった.近医にて腹部腫瘍の診断を受け,当院に手術目的にて1986年11月入院した.腹部単純X線撮影,尿路造影,腹部超音波検査,CT等より脂肪組織由来の後腹膜腫瘍と診断し,手術を施行した.腫瘍は左後腹膜腔に存在し,左腎,左副腎,左腎動静脈に浸潤していた.病理組織検査よりlipoma-like typeとsclerosing typeの混在したwell differentiatedliposarcomaであった.