1990 年 51 巻 5 号 p. 937-940
頸部巨大リンパ節転移から発見された不顕性甲状腺癌の1例を経験した.症例は61歳男性.左鎖骨上窩腫瘤を主訴に来院.腫瘤摘出により甲状腺癌の頸部リンパ節転移と診断された.5日後,甲状腺左葉切除,R1リンパ節郭清を施行した.その後,頸部所属リンパ節,頸部,前胸部皮下組織,上縦隔,胸骨,肺に再発転移をきたし,肺を除く再発転移巣に対して計11回摘出術を施行した.現在,初回手術後7年6ヵ月になり両肺転移を認めるも担癌生存中である.再発甲状腺癌に対する積極的な外科切除に加え,初回治療方針の重要性を強調した.