日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
リンパ節転移による腹部腫瘤により発見された微小無機能性膵島細胞腫瘍の1例
北郷 邦昭大和 幸保三島 好雄川村 展弘
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 51 巻 6 号 p. 1331-1334

詳細
抄録

リンパ節転移を主体に発育した無機能性膵島細胞腫瘍の症例を経験したので報告する.
心窩部痛を主訴とする61歳男性が高CEA血症を指摘され来院した.経過観察中,腹部腫瘤が明らかとなり腹部CT,血管造影などを施行したが確定診断がつかず,開腹し原発巣不明の悪性腫瘍のリンパ節転移と診断された.合併症のため術後31日目に死亡し,剖検にて無機能性膵島細胞腫瘍と診断された.
無機能性膵島細胞腫瘍は生物学的悪性度が比較的低く,悪性例でも原発巣は圧排性に発育して大きな腫瘤を形成する.本症例のように原発性が非常に小さくリンパ節転移を主体に発育した例はまれと考えられる.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top