日本臨床外科医学会雑誌
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虚血腸管の再灌流時の末梢血中過酸化脂質の変動
絞扼性イレウスにおける観察
森脇 義弘杉山 貢橋本 邦夫片村 宏山本 俊郎土屋 周二
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1991 年 52 巻 11 号 p. 2532-2535

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抄録

1981年のGrangerらの報告以来虚血後再灌流障害と活性酸素の関連が注目され,数多くの実験結果が報告されているが,臨床例で実際にこれを明らかにした報告は少ない.著者らは今回,絞扼性イレウス症例で手術中に腸管の絞扼解除を行った時の末梢血中過酸化脂質を測定し,以下の結論を得た. 1) 絞扼腸管の切除を回避できた軽症例では,解除後一過性に血中過酸化脂質値の上昇を認め,再灌流により活性酸素種に起因する組織障害が発生すると思われた. 2) 絞扼腸管の壊死が漿膜下層以下におよび,組織の構築が維持されなくなった重症例では,解除時の血中過酸化脂質値の上昇が認められず,絞扼腸管組織内では活性酸素種に基づく組織障害はおきなくなっていると考えられた.

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