日本臨床外科医学会雑誌
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乳腺葉状腫瘍の局所再発とDNA ploidyの関係について
田川 泰山口 広之林 宗榮川副 直樹中崎 隆行梶原 啓司岡 忠之川原 克信綾部 公懿富田 正雄
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1991 年 52 巻 11 号 p. 2540-2546

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抄録

乳腺葉状腫瘍13症例中3例(うち1例は2回再発)において局所再発を生じた.これらの局所再発を含めた17検体を利用することで,局所再発,組織像, DNA ploidyの関係を検討した.局所再発は3症例に認められ全例腫瘍摘出術を施行された良性病変であった.そこで,腫瘍摘出術施行例に限定すると11切除症例で,局所再発を起こしたものは良性病変9切除症例中3例,境界病変では2切除症例中0例と臨床像と組織像との間にDiscrepancyを認めた.また,この局所再発2症例においては良性病変から境界病変への悪性転化傾向を認めた. DNA ploidyについて検討すると,局所再発例の検体は全例DNA diploidyであった.また, DNA aneuploidyは1例において認められたが,この症例は局所再発を起こさなかった.これらのことより,組織像やDNA ploidy評価は局所再発の予測指標として現在有用性を認めなかった.

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