日本臨床外科医学会雑誌
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肺癌の小腸転移の1例
土田 明彦木村 幸三郎小柳 泰久青木 達哉日馬 幹弘西田 二郎坂本 啓彰三宅 恒行阪内 正純
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キーワード: 肺癌, 小腸転移
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1991 年 52 巻 11 号 p. 2663-2667

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抄録

肺癌はその解剖学的特性により早期に遠隔転移を来しやすいが,小腸転移は極めて少なく,本邦では自験例を含めて124例を数えるのみである.
症例は75歳,男性で腹痛,嘔吐を主訴として来院.胸部単純X線像にて右上肺野に3.5×3.5cmの腫瘤陰影を認めた.また腹部単純X線像にて右横隔膜下のfree airと異常小腸ガス像を認めたため,消化管穿孔と診断し緊急手術を施行した.回盲部より口側約2mの回腸に鶏卵大の腫瘤があり,中心にφ3mmの穿孔部を認めた.腫瘤を含め,約60cmの小腸切除を行い端々吻合を施行した.組織学的には,肺を原発とする転移性の低分化型腺癌であった.
術後1カ月頃より癌性胸膜炎による右胸水貯留を認めた.また腹部CTにて転移性と思われる両側副腎腫瘍を認め,次第に全身状態不良になり術後47日目に死亡した.

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