日本臨床外科医学会雑誌
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肝転移を伴った大腸癌症例の検討
政所 節夫神代 龍之介前川 隆文手島 康一秀島 輝池永 英恒堤 伸一郎山崎 繁通吉武 裕明左野 千秋犬塚 貞光川平 幸三郎
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1991 年 52 巻 12 号 p. 2838-2843

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抄録

1973年から1989年までに当科で経験した大腸癌同時性肝転移群57例と大腸癌異時性肝転移群17例(大腸癌手術後に肝転移を認めた症例)に臨床病理学的検討を加え,大腸癌肝転移の特徴を検討した.性別では男性51例,女性23例で男性に多く,平均年齢は64.7歳であった.腫瘍占拠部位では直腸およびS状結腸に多く,直腸ではRaに多かった.肉眼型では2型,組織型では高分化腺管癌が多かった.壁深達度ではs (a2)以上に多い傾向があった.肝転移の程度別平均生存率では異時性すなわちH042.7カ月,同時性すなわちH115.9カ月, H214.2カ月, H37.4カ月であり肝転移の時期および程度と予後の間に明かな相関関係が認められた.大腸癌における肝転移を予測し,肝転移症例の予後の向上のため積極的な動注化学療法や肝切除がすすめられる.

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