日本臨床外科医学会雑誌
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奇形腫であった副腎incidentalomaの1例
相吉 悠治田中 秀行平野 稔今村 明植野 映八代 亨添田 周吾菅間 博牛尾 浩樹
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1991 年 52 巻 12 号 p. 3000-3005

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抄録

副腎incidentalomaで奇形腫であった症例を報告する. 55歳の女性.心窩部不快感を主訴に来院した.腹部超音波検査で胆石症および後腹膜腫瘍を指摘された.高血圧はなく右肋骨弓下に二横指の腫瘤を触知した.副腎ホルモンの測定はほぼ正常値を示した.腹部超音波検査では胆石と石灰沈着を伴う巨大な後腹膜腫瘍を認めた.腹部CTでは13×14cmの大部分はcysticであるが一部はsolidな腫瘍を認め,石灰沈着の形より成熟型奇形腫が疑われた.血管撮影では下副腎動脈より血流を受けており副腎由来と考えられた.開腹開胸による手術を行った.右腎上部から肝の後面にかけて20×15cmの腫瘍があり摘出した.術中に黄色泥状の内容液と毛髪が流出し奇形腫と判断した.病理組織学的には,皮膚,骨,脂肪等が認められ良性奇形腫とされた.副腎incidentalomaとしては,稀な例と思われた.

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