日本臨床外科医学会雑誌
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原発性小腸捻転症の1例
田辺 博今井 直基渡辺 進加納 宣康
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1991 年 52 巻 5 号 p. 1076-1078

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抄録

汎発性腹膜炎を呈した原発性小腸捻転症の1例を経験したので報告する.症例は54歳,男性.突然の腹痛を訴えて某医を受診,保存的治療をうけるも改善せず当院を紹介された.腹部は膨満し筋性防御, Blumberg signを認めた.
汎発性腹膜炎を呈していたことから,緊急手術を施行した.開腹すると広範に壊死におちいった小腸を認めた.これを探索すると,腸間膜根部が時計まわりに約360°捻転していた.壊死腸管を切除し腸管吻合を施行し,残存腸管は約1.2mとなった.腹腔内に索状物,癒着を認めず原発性小腸捻転症と診断した.
術後は中心静脈栄養, ED食等にて加療し50病日退院した.
原発性小腸捻転症は発生頻度少ないが,重篤となるため注意を要する疾患と考えられた.

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