1992 年 53 巻 9 号 p. 2145-2148
肝動脈再建を伴うAppleby手術により切除し得た進行胃癌の1例を報告した.肝外側区域と横行結腸間膜への直接浸潤を有する74歳の胃癌症例に対し,胃全摘,膵体尾部切除,脾臓摘出,胆嚢摘出,肝外側区域切除,ならびに横行結腸部分切除を施行した.総肝動脈は腫大したリンパ節に巻き込まれていたため,腹腔動脈を根部にて切離し,固有肝動脈ならびに胃十二指腸動脈を切離した.虚血性肝障害を回避するため,自家大伏在静脈を用いて肝動脈を再建した.術後,肝機能は良好に維持された.