日本臨床外科医学会雑誌
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子宮留膿腫の穿孔による汎発性腹膜炎の1例
高橋 利通笠岡 千孝小林 俊介田村 寿康国崎 主税大久保 賢治
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1993 年 54 巻 1 号 p. 192-194

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抄録

子宮留膿腫の穿孔による汎発性腹膜炎の1例を経験したので報告する.症例は69歳の女性. 1989年2月3日,下腹部痛,発熱を主訴に入院した.腹部は膨満し,筋性防御, Blumberg徴候を認めた.白血球は5,200/mm3であった.腹部単純X線でfreeairは認めなかった.汎発性腹膜炎と診断し,同日,手術を行った.子宮留膿腫と子宮穿孔による汎発性腹膜炎があり,子宮全摘と腹膜炎のドレナージ術を行った.病理組織所見では子宮内膜はほとんど消失しており,炎症細胞浸潤が認められた.また,子宮には癌は認められなかった.術後経過は良好で術後3週間で退院したが,半年後,食道癌で死亡した.本邦報告15例を集計し,若干の文献的考察を加えて報告する.

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