日本臨床外科医学会雑誌
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Stanford A型解離性大動脈瘤手術症例の検討
舟木 成樹川田 忠典西村 晃一中村 聰遠藤 慎一小山 照幸阿部 裕之三枝 隆岡田 忠彦山手 昇
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1993 年 54 巻 10 号 p. 2496-2500

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抄録
1980年10月から1990年5月までにStanford A型解離性大動脈瘤21例に対して手術を施行した.急性例が14例,慢性例は7例であった.手術は上行置換が14例, Bentall手術4例,リング付グラフト使用2例, primary anastomosis 1例であった. annulo-aorticectasia以外の大動脈弁閉鎖不全 (AR) に対しては大動脈弁の吊り上げ術を行ったが,術後,ARの増大した症例は認めなかった.手術死亡は4例 (19%) であったが,全て前期の症例であり,超低体温循環停止・open distal anastomosis法を用いた1989年7月以降は手術死亡はなく,本法に起因する合併症も認めなかった. Kaplan-Meier法による100ヵ月の累積生存率は,急性期78.7%,慢性期68.6%であり,有意差はなかった.しかし,解離が広範な症例では,残存解離腔の注意深い経過観察が必要である.
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