日本臨床外科医学会雑誌
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多結節型肝細胞癌におけるStage分類,治癒度分類の検討
岡田 和也中島 公洋荒巻 政憲岩男 裕二郎吉田 隆典御手洗 義信金 良一小林 迪夫
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1993 年 54 巻 11 号 p. 2749-2753

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抄録
腫瘍径5cm以下の肝細胞癌切除68例中,多結節型13例を対象に,多中心性発生の有無や, Stage分類,治癒度分類について検討した.肉眼的進行程度は単発55例でStage I, II, IIIが10例, 24例, 21例であるのに対し,多結節型ではStage II, III, IV-Aが1例, 6例, 6例であった.また治癒度は単発例で絶対的治癒切除 (AC) 6例,相対的治癒切除 (RC) 37例,相対的非治癒切除 (RNC) 12例であるのに対し,多結節型ではRC 3例, RNC 10例であった.一方,多結節型13例中10例が多中心性発生と考えられ,その5生率は54%であった.これに対して単発例の5生率は全体で36%, Stage I, II, IIIで80%, 52%, 15%, AC, RC, RNCで100%, 43%, 22%であった.したがって多結節型肝癌は単発例に比べStageが進行したRNC症例が多いが,多中心性発生の場合には切除により比較的良好な予後が得られており,今後,多中心性発生の可能性を考慮したStage分類や治癒度分類の検討が必要と考えられた.
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