日本臨床外科医学会雑誌
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腹部食道壁内に発生した気管支原性嚢胞の1例
小笠原 敬三瓜生原 健嗣花木 宏治木本 秀治河本 和幸川口 義弥阿曽沼 克弘吉田 泰夫伊藤 雅記井 英治河野 幸裕高三 秀成能登原 憲司
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1993 年 54 巻 11 号 p. 2817-2821

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抄録
気管支原性嚢胞は,発生学的に原始前腸から由来する先天性嚢胞であるが,食道壁内に発生することは稀である.今回,われわれは腹部食道壁内に発生した気管支原性嚢胞の1例を経験したので報告する.症例は60歳,男性で,主訴は嚥下障害であった.食道胃透視で食道胃接合部にsmoothな狭窄像あり,超音波検査, CT検査, MRIにて腹部食道前方に腫瘤を指摘された.上腹部正中切開にて開腹し,腹部食道右側より突出している腫瘤を摘出した.表面平滑で灰白色を呈し,大きさは5.5×5.0×4.0cmで63gであった.割面にて嚢胞壁は薄いが硬く弾力性を有し,褐色のやや粘稠な液を含んでいた.組織学的所見として嚢胞内面は線毛円柱上皮で被覆されており,嚢胞壁には軟骨,弾力繊維,混合腺を認め,気管支原性嚢胞と診断された.軟骨を認めた傍食道型気管支原性嚢胞は,本邦の文献上では自験例を含めて15例のみである.
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