日本臨床外科医学会雑誌
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小骨盤腔に発生した悪性線維性組織球腫の1例
高橋 利通笠岡 千孝小林 俊介国崎 主税山内 毅金村 栄秀栗林 宣雄
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キーワード: 悪性線維性組織球腫
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1993 年 54 巻 11 号 p. 2921-2923

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抄録

小骨盤腔に発生した悪性線維性組織球腫 (malignant fibrous histiocytoma: MFH) の1例を経験したので報告する.症例は37歳の女性.主訴は左替部腫瘤. 1992年7月,左腎部腫瘤に気づき,他院を受診した.坐骨直腸窩腫瘍と診断され, 8月13日,腰椎麻酔下に経肛門的ドレナージ術を施行され,内容は血液であった.当科に紹介受診した.骨盤部CT,血管造影を行い,腫瘍は左坐骨直腸窩を中心に発生し,小骨盤腔から替部の皮下まで存在していた.10月29日,腹会陰式摘除術を行った.切除標本は15×8×6cm, 重さ264g, 充実性,分葉状で被膜が認められた.病理組織所見ではMFHであった.術後経過は良好で術後3週間で退院した.術後4ヵ月の現在,健在である.
MFHは,一般に成績は不良で局所再発や肺転移をきたしやすい腫瘍である.したがって厳重な経過観察が必要である.

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