日本臨床外科医学会雑誌
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進行胃癌の原発巣及び同転移リンパ節におけるDNA ploidy pattern, proliferation indexおよびProliferating cell nuclear antigen (PCNA) の検討
今津 浩喜船曵 孝彦落合 正宏丸上 善久中村 耕治福井 博志亀井 克彦山口 久長谷川 茂新井 一史森 紀久朗笠原 正男
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1993 年 54 巻 12 号 p. 2962-2969

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抄録

リンパ節転移を伴う進行胃癌15症例55標本を用いて原発巣と各群所属リンパ節の, DNA ploidy pattern, PI, およびPCNAを測定し,パラメータ間の相関を検討, PCNAについてはホルマリン固定期間と染色率の相関を検討した.さらに転移リンパ節においては,近傍,遠位への転移と, heterogeneityについても検討した.結果:(1)原発巣及び転移リンパ節55標本中78%(43標本)がDNA aneuploidy patternを示した.(2)8症例 (53%) にDNA histogram上heterogeneityが認められた.(3)PCNA染色は55標本中96%(53標本)の染色陽性率で,腫瘍巣においては瀰漫性に染色陽性に認められた.(4)DNA aneuploidy patternの標本に有意にPI (p<0.05),PCNA陽性率 (p<0.005) が高かった.(5)PIとPCNA陽性率に有意の (p<0.05, rS=0.354) 相関があった.(6)標本のホルマリン固定期間は2週間以内ではPCNA陽性率に有意な影響を与えなかべた (rS=0.128).(7)原発巣,転移リンパ節nl, n2, n3-4の各群間においてそのDNA ploidy pattern, PI, PCNA陽性率の全てに有意差はなかった.以上の結果から,より遠位のリンパ節に転移することと,これらパラメータによる悪性度,増殖能との関連は証明しえず,これにはheterogeneityが関与していることが考えられた.

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