日本臨床外科医学会雑誌
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異所性褐色細胞腫におけるカテコールアミン合成酵素の局在
大高 克彦舟橋 啓臣佐藤 康幸今井 常夫越川 卓高木 弘
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1993 年 54 巻 12 号 p. 3009-3013

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抄録

異所性褐色細胞腫は, Phenylethanolamine-N-metyltransferase (PNMT) を欠くため, Adrenalin (Ad) は分泌しないと考えられていた.しかしAd高値の症例がしぽしぼ認められる.この理由を調べるために, PNMTを中心にTyrosine hydroxylase, Dopamine-β-hydroxylaseを含め,カテコールアミン合成に関わる3酵素の局在を,摘出腫瘍の免疫組織染色を行い検討した.
当科で扱った異所性褐色細胞腫12症例を対象とした.このうち,術前の尿中Adが高値であった症例は2例であった.これらの症例では術後の尿中Adは正常化しており, Ad高値は腫瘍由来と考えてよいと思われた.免疫組織染色の結果ではPNMTはこの2例含め8例に発現していた.従って,異所性褐色細胞腫症例でも腫瘍内にPNMTは存在し,そのためAd高値の症例があってもよいと考えられた.

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