日本臨床外科医学会雑誌
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AFPおよびCA19-9産生胃癌の1例
岩崎 誠山際 健太郎草川 雅之野口 孝
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キーワード: CA19-9産生胃癌, 核DNA量
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1993 年 54 巻 12 号 p. 3056-3060

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抄録

症例は62歳女性,貧血と心窩部の腫瘤を認め,入院時の血清AFP値243.2ng/ml, 血清CA19-9値350U/mlと高値を示した.しかし血液生化学検査並びに画像検査にて肝・胆道系及び膵に異常所見なく,胃透視と内視鏡にて胃前庭部後壁のBorrmann 1型胃癌と診断した.開腹時の肉眼的所見はH0P0S1N0で幽門側胃切除とR2リンパ節郭清を施行した.病理組織学的検索で腫瘍は高分化型管状腺癌で,深達度ssγ, n(-), stage IIであり,免疫組織学的に胃癌細胞内にAFPとCA19-9の局在が証明された.術後,血清AFPとCA19-9は速やかに正常化し, AFP及びCA19-9産生胃癌と診断した.また腫瘍の核DNA ploidy pattemはdiploid typeを示し,術後3年目の現在も無再発生存中である.一般的にAFP産生胃癌や2種以上の腫瘍マーカーを産生する胃癌は極めて予後不良とされているが,自験例のごとく組織型が分化型で核DNA ploidy patternがdiploid type のものは,良好な予後を期待できるものと思われた.

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