日本臨床外科医学会雑誌
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胃静脈瘤に対する経頸静脈的塞栓術の試み
近森 文夫青柳 啓之高垣 俊郎和田 光功渋谷 進高瀬 靖広深尾 立
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1993 年 54 巻 3 号 p. 587-593

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抄録

胃静脈瘤に対する非観血的治療法として,内頸静脈よりカテーテルを胃腎静脈シャントに挿入して静脈瘤を塞栓する方法-経頸静脈的胃静脈瘤塞栓術(transjugularobliter-ationforgastricvarices:TJO)-を考案したので報告する.対象は,孤立性胃静脈瘤1例,食道胃静脈瘤2例,計3例である.食道胃静脈瘤2例については,硬化療法により食道静脈瘤を治療した後にTJOを施行した.胃腎静脈シャントの血流を制御し,逆行性塞栓を行うために, 5 Frenchコブラ型パルーンカテーテルを使用した.硬化剤は, 50%Glucose,無水ethanol, 5%ethanolamine oleate with iopamidolを用いた.全例において,胃静脈瘤の塞栓に成功し,内視鏡的に胃静脈瘤は消失した.なお合併症は認めなかった.いずれも現在,再発を呈することなく生存中である.以上から, TJOは胃腎静脈シャントを有する胃静脈瘤に対する有効な治療法になりうると思われた.

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