1993 年 54 巻 3 号 p. 642-645
腺癌の扁平上皮化生により生じた乳腺扁平上皮癌を経験したので報告する.患者は42歳女性,左乳房腫瘤,落痛を自覚し,来院.マンモグラフィー,超音波断層撮影にて乳癌と診断され,非定型的乳房切断術を施行した.
病理組織学的に乳房は,ほとんどが扁平上皮癌であった.転移陽性であった腋窩リンパ節では扁平上皮癌成分と同時に腺癌成分の混在も認められた.
術後1年目に患側胸部皮膚に再発を認め,生検を施行した.病理組織学的には,ほとんどが充実腺管癌であり,扁平上皮成分はわずかしか認められなかった.