日本臨床外科医学会雑誌
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腫瘍マーカーが異常高値を示した胆嚢・総胆管結石の1例
河野 洋一河口 忠彦今井 滋西川 亨舩橋 渡
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キーワード: 胆嚢・総胆管結石
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1993 年 54 巻 3 号 p. 751-755

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抄録

血清CA19-9, DU-PAN-2, SPan-1は,膵・胆道系悪性腫瘍の診断に有用なマーカーであるが,良性疾患においても陽性例がある.今回われわれは, CA19-9が10,000以上U/ml, DU-PAN-2が930U/ml, SPan-1が1. 900U/mlという高値を示した胆嚢・総胆管結石の1例を経験した. CA19-9の陽性例は散見するが, DU-PAN-2, SPan-1の陽性例の報告は希少であるため,若干の文献的考察を行った.
症例は75歳女性で主訴は腹痛.黄疸,発熱も伴い,他医より精査加療目的で紹介され入院.経皮経肝胆嚢ドレナージを施行し,減黄するにつれて腫瘍マーカーも下降し,造影所見より胆嚢・総胆管結石の診断で手術施行.胆嚢・総胆管結石を認めたが,胆嚢は組織学的にも悪性所見は認めなかった.手術後,腫瘍マーカーは陰性化し,軽快退院した.

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