日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
頭頸部領域癌に対する食道切除・再建症例の検討
奥芝 俊一加藤 紘之郷 仁下沢 英二田辺 達三皆川 英彦吉田 哲憲大浦 武彦福田 諭酒井 昇犬山 征夫
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 54 巻 4 号 p. 861-864

詳細
抄録

形成外科的手技の安全性が確立され,頭頸部進行癌術後の広範な欠損部の修復,再建が可能になり,拡大切除が積極的に行われるようになった.今回, 1982~1992年1月までに当科にて頭頸部領域癌に食道切除・再建を施行した15例を対象に術式,合併症などを中心に検討を加えた.原発病巣が頸部食道および下咽頭で頸部食道に進展する症例に対しては食道下端の距離を十分とるために積極的な食道全切除,胃管による再建を行っているが,他の頭頸部原発癌による食道浸潤,特に口側の浸潤に対しては,遊離空腸による再建を第一選択としている.再建材料の選択には歴史的な背景の違いがあるが,術後合併症の発生率からみると,再建材料による有意な差は認めなかった,合併症についてはむしろ,術前化学療法・放射線療法による全身,あるいは局所に対する影響の方が大きかった.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top