日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
血尿にて発見された腹部大動脈瘤・総腸骨動静脈瘻の1治験例
渡辺 正純長岡 秀郎印南 隆一広岡 一信船越 尚哉藤原 明淀縄 武雄
著者情報
キーワード: 動静脈瘻, 血尿
ジャーナル フリー

1993 年 54 巻 6 号 p. 1528-1531

詳細
抄録

腹部大動脈瘤の破裂でも比較的稀とされている動静脈瘻を経験したので報告する.症例は67歳男性で突然血尿が出現し他院受診,腹部大動脈瘤の診断にて当科紹介となった.入院後,心臓カテーテル検査にて高心拍出量と左総腸骨静脈での酸素飽和度の上昇,また,動脈造影検査にて左総腸骨動静脈痩が認められた.手術は左側よりのretroperitoneal approachにて行い,左大腿動脈よりForgaty balloon catheterを挿入,左総腸骨静脈を遮断した.瘻孔は径約0.5cm程度と小さかったが静脈遮断前には多量の出血を認めた.瘻孔を直接閉鎖し,瘤をY graft人工血管にて置換した.術後経過は良好で溶血も改善し元気に退院となった.本疾患の予後向上のためには早期診断,早期治療が重要であると思われた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top