日本臨床外科医学会雑誌
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肝転移巣切除と骨盤内臓全摘術を一期的に施行し得た進行直腸癌の1治験例
大畑 俊裕竹中 博昭角村 純一岩瀬 和裕三木 康彰別所 俊哉井上 匡美横地 啓也永井 勲山際 健司田中 智之
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1993 年 54 巻 6 号 p. 1580-1583

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抄録

直腸癌の局所進展に対する骨盤内臓全摘術は,良好な手術成績を得ている.一方,直腸癌の肝転移に対する肝切除術の手術成績,予後も良好である.しかし,両者を同時に行った報告は未だ少ない.今回,われわれは肝転移巣切除と骨盤内臓全摘術を同時に行った症例を経験したので報告する.症例は62歳,男性.血尿を主訴として来院.精査にて直腸癌が前立腺,更には膀胱に浸潤しており,肝への多発性転移も認められた.主病変はRbに存在する全周性の病変であり,肝はS3, 4, 7に径1.5×1.5cm, 4.5×4.5cm, 4.5×4.5cmの転移巣が計3個認められた.骨盤内臓全摘術とR3郭清,肝左葉及びS7部分切除,更に人工肛門造設,尿路変更を施行し,根治術を施行し得た.術後MRSA肺炎を併発し気管切開下に呼吸管理を要したが,肝腎機能障害は起こらず,術後57日目に軽快退院した.術後血清CEA値は, 50ng/ml以上から8.6ng/mlまで低下した.

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