1993 年 54 巻 7 号 p. 1738-1741
無黄疸で発見された十二指腸乳頭部癌切除症例15例について術前黄疸を伴った症例40例と臨床病理学的に比較検討した.無黄疸例では無症状は6例あり,最初に異常を指摘された検査法は超音波検査 (以下US) が10例で最も多かった.黄疸の有無と肉眼形態,主腫瘍の大きさとの間には関連性を認めなかった.無黄疸例は黄疸例に比べ,病理学的に Oddi 筋を越える症例,十二指腸浸潤,膵浸潤,リンパ節転移を認める症例の頻度は低かった,無黄疸例の予後は黄疸例に比べ,術後1年から9年にかけて良好であった.無黄疸乳頭部癌の発見に努めることは切除例の一層の予後の改善に寄与するものと考えられる.