日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
乳腺結核の1例
丸山 祥司川崎 恒雄林 政澤出江 洋介長瀬 慈村野坂 俊壽櫻澤 健一上江田 芳明菊池 正教
著者情報
キーワード: 乳腺結核
ジャーナル フリー

1993 年 54 巻 7 号 p. 1779-1785

詳細
抄録

比較的稀な乳腺結核を経験したので報告する.症例は62歳女性.右乳房に直径3cmの腫瘤を自覚.近医受診し悪性疾患を疑われ当科紹介された.初診時乳房所見は右乳房C領域に30×15mm卵円形の腫瘤を触知.表面は凹凸不整で境界明瞭,腋窩リンパ節触知せず.血算,生化学検査では賄無し.ッ反15×18mmであったが,胸部X線写真に異常所見は認められなかった.マンモグラフィ,エコーも悪性を強く疑わせる所見であったため試験切除を施行した.組織診にて類上皮細胞, Langhans 巨細胞の出現を認め乳腺結核と診断された.術後ストレプトマイシン,イソニコチン酸ヒドラジド,リファンピシンを内服にて良好な経過をみた.
乳腺結核は癌との鑑別診断は極めて困難であり生検による組織診断,結核菌の証明が重要である.乳腺腫瘍で念頭に置くべき疾患の一つである.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top