日本臨床外科医学会雑誌
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早期診断に難渋した特発性食道破裂の1例
國松 範行山本 真二竹村 俊哉久場 襄中野 真渡辺 圭三岡田 昌之高木 啓吾
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1993 年 54 巻 8 号 p. 2067-2071

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抄録

今回われわれは,発症後1週間経過した特発性食道破裂症例に対し,破裂部直接縫合閉鎖及び胸腔ドレナージにて治癒せしめた1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告した.
症例は46歳の男性で,飲酒後の嘔吐に続き心窩部痛,呼吸困難を自覚し近医を受診した.胸部X線写真にて異常を認めず帰宅するも,症状改善しないため他院へ入院する. 2日後の胸部X線写真にて左右水気胸を認め,胸腔ドレナージ術を施行し,食道内視鏡を施行したが異常は認めなかった.しかし症状改善せず紹介にて当院入院となる. 6日後に再度食道内視鏡を施行し,穿孔を確認し特発性食道破裂と診断した.発症1週後に破裂部直接縫合閉鎖術を施行しその後縫合不全をおこしたが,胸腔ドレナージと中心静脈栄養の管理にて救命し得た.

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