1993 年 54 巻 9 号 p. 2249-2254
組織学的深達度pm以上の大腸癌77例のパラフィン包埋切片を用いたflow cytomeryによる核DNA量解析を行い,大腸癌の悪性度について検討を加えた.
DNA diploidy 46例 (60%), DNA aneuploidy 31例 (40%) であった.性,年齢,部位およびly, n, p因子にdiploidy群とaneuploidy群に有意差はみられなかった. v, H因子では有意差はないが,それぞれv(+), H(+)にDNA aneuploidy出現率が高い傾向にあった.さらにV(+)でDNA aneuploidy patternを示すものはv(-)群に比して有意に肝転移率が高く (p<0.01), v(+) でDNA aneuploidy群はDNA diploidy群に比べ,肝転移率が高い傾向にあった (p<0.10). 18ヵ月生存率ではDNA dip-loidy群, DNA aneuploidy群とも84%と同一であった.これに対してDukes分類ではDukes A 100%, B 96%, C 72%とよく比例した.
大腸癌の悪性度については, DNA解析とともに多方面からの検討が必要と考えられた.