日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
食道顆粒細胞腫の1治験例
勝田 猛斉藤 貴生石川 浩一安部 寿哉筑波 貴与根木下 忠彦下田 勝広宮原 正樹桑原 亮彦小林 迪夫
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 54 巻 9 号 p. 2276-2279

詳細
抄録

外科的に切除した食道顆粒細胞腫の1例を経験したので報告する.症例は37歳,男性で胃潰瘍の経過観察中,内視鏡検査でEi領域の食道後壁に7×3mm大,白色調で浅い陥凹を伴う立ち上がりのなだらかな隆起性病変を認めた.生検によりgranular cell tumorの診断が得られ,組織学的に悪性所見を認めなかったが,腫瘍の形態,年齢などを考慮し,開胸下に食道喫状切除術を行った.顆粒細胞腫は舌,皮膚,乳房などに好発するが,食道に発生することはまれであり,われわれの検索によると本邦では現在までに84例の報告がみられるにすぎない.本症は一般に良性腫瘍と考えられているが,悪性例の報告もあり,治療方針決定に際し注意が肝要である.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top