1994 年 55 巻 10 号 p. 2585-2587
症例は75歳女性,糞尿を主訴として受診した.膀胱鏡にて膀胱三角部に痩孔を疑う開孔が存在した.膀胱造影にて造影剤の痩孔より回腸への流入を認めた.腹部CT検査にて腫瘍像は認められず,注腸造影にても大腸悪性腫瘍を疑わす所見は存在しなかった.
以上より小腸膀胱痩と診断し,回腸膀胱部分切除を施行した.切除回腸には憩室が多発しそのうち一つが膀胱と痩孔を形成し,他の一つが膀胱に穿通していた.組織学的にも憩室の存在が確認され回腸憩室炎に起因した小腸膀胱痩と考えられた.