1994 年 55 巻 12 号 p. 3064-3067
胃癌根治術後2年7カ月目に横行結腸の嵌頓による汎発性腹膜炎を併発した成人のBochdalek孔ヘルニアを経験した. 37歳の男性が,胃癌術後のfollow-up中に急性腹症で入院した.イレウスの疑いで保存的治療中,腸管穿孔による腹膜炎を併発し,緊急手術を施行した.手術所見で, Bochdalek孔に嵌頓した横行結腸が絞拒されて穿孔したものと診断された.本症例は,入院時に的確に診断され根治術が成されていれば,腹膜炎の併発は予防できたと考えられた.