1994 年 55 巻 4 号 p. 818-821
術後の腹壁瘢痕ヘルニア及び縫合糸膿瘍を予防する目的で,正中切開での開腹手術症例79例に,開腹に際しmonofilamentの吸収糸を用い連続縫合を行った.男性48例,女性31例で平均年齢は57.6歳,平均追跡期間は1年10ヵ月であった.閉腹に際し当初はPolydioxanone (以下PDS) 1号糸を, 1992年より Glycolide trimethylene carbonate (以下Maxon) 0ループ針を用いた.術後1年から2年7ヵ月の全例に腹壁瘢痕ヘルニア及び縫合糸膿瘍は1例も認められなかった.
monofilament吸収糸を用いた連続縫合による腹壁閉鎖法は,術後の腹壁瘢痕ヘルニア及び縫合糸膿瘍の予防に有用と考えられた.