1994 年 55 巻 6 号 p. 1465-1469
症例は71歳,女性.十二指腸潰瘍穿孔性腹膜炎手術後,逆流性食道炎にてfollow upされていたが,進行性の経過をたどり食道狭窄を合併した.バルーン拡張術を施行したが食道穿孔をおこしたため,食道穿孔部を閉鎖し,アカラシアの手術に準じた術式を施行した.術後経過は順調であり,経口摂取状態も良好である.本症例は,逆流性食道炎による食道狭窄の合併が食道・下部食道括約筋機能などの防御因子の低下ぼかりでなく,攻撃因子の過剰によってもおこりうることを示している.また食道裂孔ヘルニアを有さず食道狭窄を合併した逆流性食道炎の手術には,アカラシアに準じた噴門形成術が有用なことがあると思われた.