日本臨床外科医学会雑誌
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巨大胃腺腫の1例
野崎 浩岡村 慎也冨木 裕一岡原 由明森本 俊雄矢吹 清隆津村 秀憲渡部 洋三松本 道男
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1994 年 55 巻 6 号 p. 1475-1479

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抄録

症例は65歳の女性で,健康診断時に,胃の巨大隆起性病変を指摘された.近医を受診し血液検査で著しい貧血を認め,当院を紹介され入院となった.胃内視鏡検査にて巨大胃腺腫が認められ,幽門輪温存胃切除術 (pyrolus preserving gastrectomy: PPG) を施行した.腫瘍は9.0×7.5cm大の有茎性腫瘤で表面は大小多様の乳頭状増殖を示していた.組織学的には管状~乳頭状に上皮の増殖が見られ,上皮は全体的に軽度~中等度の異型性を示していたが,明らかな癌化は認められず,大腸型胃腺腫の中の腺管絨毛状腺腫と診断された.
大腸型胃腺腫は比較的稀とされており,癌化率は高い.特に2cm以上の病変ほど癌化率は高く前癌病変としての性格が強い.しかし自験例は巨大であるにもかかわらず癌化のみられない珍しい例であった.

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