日本臨床外科医学会雑誌
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十二指腸閉鎖症と十二指腸膜様狭窄症を合併した腸回転異常症の1例
大野 耕一辻本 嘉助石田 武山口 俊昌藤原 英利脇田 和幸竹内 敏中平 公士塩川 智司木下 博明
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1994 年 55 巻 8 号 p. 2047-2052

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抄録

腸回転異常症に十二指腸閉鎖症と膜様狭窄症を合併した男児(在胎33週,生下時体重2,064g)を経験した.腹部単純X線検査でdouble bubbie signを認めたため生後2日目に開腹したところ,腸回転異常症とapple peel型十二指腸閉鎖症がみられた. Ladd手術ののちapple peeiの部分を切除して十二指腸小腸吻合を行った.しかし退院後の離乳食開始時から嘔吐が激しくなり,1歳7カ月時の上部消化管造影検査で著しく拡張した十二指腸がみられた.癒着による狭窄と診断し第2回手術で癒着剥離を行ったが症状は改善せず,1歳10カ月時の内視鏡検査で膜様狭窄が判明した.第3回手術で十二指腸切開,膜切除を行い以後順調に経過した。腸回転異常症には消化管奇形が合併することが報告されているが,膜様狭窄症の合併を術中に診断することは容易ではない.そこで腸回転異常症の手術では, balioon catheterを用いて上部消化管の通過性を確認すべきであると考える.

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