日本臨床外科医学会雑誌
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急性無石胆嚢炎で発症した小児左側胆嚢の1例-本邦報告例の検討-
山口 竜三山口 晃弘磯谷 正敏堀明 洋金 祐鎬森 直治前田 敦行河合 正巳高野 学
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1994 年 55 巻 8 号 p. 2103-2107

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抄録

われわれは急性無石胆嚢炎で発症した小児の左側胆嚢の1例を経験したので報告する.症例は11歳,男児.右上腹部痛と発熱で発症し,白血球数とCRPの高値を認め,右上腹部に腫瘤が触知された.腹部超音波検査で急性無石胆嚢炎の所見を認めたので,経皮経肝胆嚢ドレナージを施行し,保存的治療を行った.ドレナージチューブからの造影で総胆管は胆嚢底部右側にわずかに描出され,また内視鏡的胆膵管造影で総胆管,膵管に異常は認めなかったが胆嚢は描出されなかった.ドレナージチューブを閉鎖すると腹痛,発熱が再燃するため,胆嚢摘出を施行した.壊疽性胆嚢炎の所見であり,胆嚢管は閉塞していた.また胆嚢床は肝円索の左側にあり,胆嚢は肝外側区下面に存在していた.一般的に左側胆嚢は他疾患の開腹時に偶然発見されることが多いが,本症例は左側胆嚢であるため胆嚢管の不自然な走行異常により胆嚢管閉塞をきたしたと推測され,興味深い症例と思われた.

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