日本臨床外科医学会雑誌
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Recklinghausen病に合併した乳癌の1例
石田 誠関 弘明前原 正典新本 修一山口 明夫中川原 儀三
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キーワード: 乳癌, Recklinghausen病
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1994 年 55 巻 9 号 p. 2242-2246

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抄録

Recklinghausen病に合併した乳癌の1例を報告し,自験例を含む本邦報告例17例について文献的考察を加え報告した.症例は31歳の女性.幼少時より躯幹部に黒褐色の色素斑を認めていた.約1年前より皮膚に軟らかい小腫瘤の多発を認め,その後右乳房の腫瘤に気付き,次第に増大したため当科に来院した. T3a, Nla, M0, Stage IIIaの乳癌と診断し,定型的乳房切除術を施行した.組織学的には硬癌で,皮膚浸潤とリンパ節転移を認め, t3, n1β, m0, stage IIIあった.また同時に切除した皮膚の腫瘤は神経線維腫であった. Recklinghausen病は良性疾患で致命的な疾患ではないが,様々な悪性腫瘍との合併が報告されており,この合併疾患によって予後が左右される.特に乳癌との合併例では進行癌が多く,予後は良好とはいえない.これは皮膚病変により腫瘤触知の困難なことが多く発見が遅れるためと思われ,注意深い検索が必要であると考えられた.

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