抄録
十二指腸乳頭部カルチノイドの1例を経験した.症例は上腹部痛を主訴とする43歳,女性.US•CTでは肝内胆管の著明な拡張を,PTCでは総胆管末端部でV字型の完全閉塞を認め,内視鏡上Vater乳頭部は著明に腫大し,一部赤色調の粘膜からの生検結果はGroup V (Adenocarcinoma) であった.以上より十二指腸乳頭部癌の診断にて,膵頭十二指腸切除術を施行.病理組織学的所見:乳頭部に限局して異型的な細胞が増生しており,深部への浸潤およびリンパ節転移は認めなかった.免疫組織化学的染色では,NSEおよびクロモグラニンA染色陽性であることからカルチノイドと診断した.本邦報告例の検討からも,本症の進展形式は粘膜下層に向かう特徴がある事などから,術前診断は困難な場合が多く,また術式としては十分なリンパ節郭清を含めた膵頭十二指腸切除術は妥当なものと考えられた.