日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
人工血管破裂後に自然閉塞をきたした大腿
大腿動脈crossover bypassの1例
山口 博一郎高木 正剛宮川 尚孝柴田 隆一郎橋谷田 博山田 卓史山口 敬史釘宮 敏定
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 56 巻 5 号 p. 1063-1067

詳細
抄録

Knitted Dacron人工血管による血行再建術後に移植血管断裂による仮性動脈瘤と人工血管の自然閉塞を来し,再手術により治癒させ得た症例を報告した.
患者は81歳,男性,13年間に右下肢の閉塞性動脈硬化症に対し径8mmの人工血管によるcrossover femoro-femoral bypass術が施行された.今回は7カ月前から下腹部に腫瘤が出現し,画像診断で人工血管破裂による仮性動脈瘤と診断され,再手術を施行した.人工血管は長軸方向に約7cmにわたる2条の断裂を認め,内腔は血栓閉塞を来していた.
人工血管の瘤化,破裂の本邦報告例は自験例を含め24例であったが,術後遠隔期におけるこの種の合併症は今後さらに増加するおそれがあり,術後長期にわたる注意深い人工血管の状態観察が重要と思われた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top