日本臨床外科医学会雑誌
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穿孔性消化性潰瘍に対する縮小手術症例の検討
藤井 輝彦荒木 恒敏小林 良三高木 賢明淵上 量三炊江 秀幸坂本 照夫加来 信雄武田 仁良掛川 暉夫
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1995 年 56 巻 7 号 p. 1301-1307

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抄録

穿孔性消化性潰瘍に対する手術術式として,単純閉鎖術などの縮小手術が可能か否かを当センターの縮小手術症例21例をもとに検討した.平均年齢は67.3±17.6歳で,男女比は17:4であった.穿孔部位は十二指腸19例で,胃2例であった.搬入時に併存疾患を有するものが全体の90%で,すでにショックであったものが4例あり,縮小手術を施行した理由は,高齢,全身状態不良や重篤な併存疾患を有していたこと,であった.発症から手術施行までの平均時間は19.1±17.9時間で,術後合併症は81%に認められた.予後は,在院死8例,退院13例であった.在院死亡原因として, MOF, 腎不全,敗血症などがあげられた.重篤な併存疾患を有していたり,術後合併症をきたした症例でも,術後再発の徴候もなく救命できた症例もあるが,縮小手術が可能か否かは術後の機能を把握したうえで,再度検討する必要があると思われた.

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