日本臨床外科医学会雑誌
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特発性大網捻転症の1例
伊藤 哲哉鬼塚 伸也本郷 碩中安 清倉田 悟黒田 豊永島 浩亀井 敏昭
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キーワード: 特発性大網捻転症
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1995 年 56 巻 7 号 p. 1450-1454

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抄録

特発性大網捻転症は急性腹症として発症する比較的稀な疾患であり,明らかな器質的疾患の存在しない特発性大網捻転症は,本邦において33例の報告があるのみである.今回われわれは本症の1例を経験したので報告する.
症例は54歳の女性,右上腹部痛を主訴に来院した.来院時軽度の白血球増多,発熱及び右上腹部に筋性防御を認めたため,穿孔性腹膜炎の診断にて緊急手術を施行した.開腹時,血性腹水の軽度貯留と右肝下面に壊死に陥った大網の一部 (5.6×3.8×2.5cm) を認めた.同部は時計方向に2.5回捻転しており,健常部を含め壊死部を切除した.病理組織学的には,高度の出血像,間質血管の著明な拡張および脂肪壊死を認めた.術後経過は良好で術後10日目に退院した.
自験例を含めた本邦報告例34例について文献的考察を加え検討した.

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