日本臨床外科医学会雑誌
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Kasabach-Merritt症候群を呈した後腹膜原発海綿状血管腫の1手術例
谷口 雅彦上田 祐滋豊田 清一前田 守孝
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1995 年 56 巻 7 号 p. 1459-1463

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抄録

後腹膜原発の海綿状血管腫にKasabach-Merritt症候群(以下K-M症候群)を併発した極めて稀な1症例を経験した.症例は68歳女性で腹部膨満感を主訴として来院した.触診上,左側腹部に無痛性,手拳大の硬い腫瘤を触知した. CT, MRIにて左側腸腰筋部位より発生した径約10×10cmの後腹膜腫瘍と診断した.入院直後より出血傾向が出現し血小板減少, FDP上昇を認めた.ただちに抗DIC療法を始めたが治療に反応しないため悪性後腹膜腫瘍も否定できず,血小板輸血の下に,緊急手術を施行した.腫瘍摘出後ただちにDICより離脱し,術後20日目には全治退院した.病理組織診断は血管内乳頭状内皮過形成症を伴う海綿状血管腫であった.本症例では血管原性腫瘍に併発したK-M症候群がDIC発症の一因と考えられた.

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