日本臨床外科医学会雑誌
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洗腸操作により傍人工肛門結腸に穿孔を来したと思われた1例
阪本 研一橋本 高志中嶋 日出雄
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キーワード: 人工肛門, 大腸穿孔, 洗腸法
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1995 年 56 巻 8 号 p. 1637-1641

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抄録

今回,洗腸操作により傍人工肛門結腸に穿孔を来したと思われたまれな1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は37歳,男性で5年前にS状結腸癌の診断で手術を施行され4カ月前より洗腸法で人工肛門を自己管理していた. 1カ月前より洗腸後に人工肛門周辺の軽度腹痛が出現し,腹痛の増強を認め受診した.人工肛門周辺に圧痛と腹膜刺激症状を認め,単純X線およびCT検査でfree airを認めず,人工肛門からの造影検査で人工肛門のすぐ口側部より造影剤の腹腔内漏出を認めた.傍人口肛門結腸穿孔による腹膜炎と診断し,穿孔部を含めて肛側結腸を切除し人工肛門を再造設した.穿孔部は人工肛門口側約7cmにあり病理検査では穿孔部周辺に固有筋層の断裂像を認め,この抵抗減弱部が洗腸時の機械的因子により穿孔したものと思われた.洗腸に際しては合併症として腸管穿孔を常に念頭におくべきと思われた.

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