日本臨床外科医学会雑誌
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回腸ストーマ症例における回腸組織大腸化と腸内細菌叢の変化に関する検討
柿坂 明俊星 智和小山内 誠山本 康弘河野 透葛西 真一水戸 廸郎
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1996 年 57 巻 1 号 p. 23-29

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抄録
大腸全摘・回腸ストーマ造設術後における回腸組織の大腸化現象を明らかにするために,排便機能(パウチ内容廃棄回数,便水分含有率)と腸内細菌叢の変化および回腸組織の大腸化の有無について着目し比較検討した.
その結果,大腸化した症例では自覚的にも,また水分含有率でもより良好な排便状態が維持された.腸内細菌叢の検査では,通性嫌気性菌とともに偏性嫌気性菌が検出され,大腸に近い細菌構成の傾向にあった.今回の大腸化した症例の排便機能からみて大腸化する時期は術後3カ月~2年位と考えられた.大腸化を促進する因子や疾患によるちがいなどの解明には今後の検討が望まれる.
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© 日本臨床外科学会
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