日本臨床外科医学会雑誌
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甲状腺腫瘍の前面を走行していた非反回下喉頭神経の1例
杉野 圭三岡本 英樹札場 保宏杉 桂二武市 宣雄土肥 雪彦
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1996 年 57 巻 10 号 p. 2406-2408

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抄録

甲状腺手術の際に稀に反回神経(下喉頭神経)が右鎖骨下動脈の下を反回せず,直接迷走神経より分枝する症例を経験する.非反回下喉頭神経(NRILN)は右鎖骨下動脈起始異常に伴う発生異常である. NRILNの走行は通常迷走神経より直接分枝し,甲状腺の裏側を走行し喉頭へ入るが,胸骨甲状筋の裏側と甲状腺前面の間を走行していた稀な症例を経験した. NRILNの症例は術前食道透視で,異常右鎖骨下動脈による切痕を認めることが多く,術前食道透視や,術中の反回神経の慎重な確認で反回神経麻痺を防ぐことが必要である.

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