日本臨床外科医学会雑誌
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CA19-9の異常高値を示した肺分画症の1例
長岡 弘谷口 棟一郎家里 裕井上 智博綿貫 啓横森 忠紘五十嵐 俊彦
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キーワード: 肺分画症
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1996 年 57 巻 3 号 p. 571-574

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抄録
糖鎖抗原腫瘍マーカーであるCarbohydrate Antigen 19-9 (CA19-9)は膵・胆道系癌と相関が高く,臨床的にも多用されている.近年,呼吸器系疾患で異常高値を認めたとの報告が散見され,著者らも血清CA19-9が異常高値を認めた, Pryce III型肺分画症を経験した.切除標本で,炎症性肥厚を伴う多房性嚢胞を認め,病理学的には慢性炎症の所見であった. CA19-9免疫組織染色では,気管支上皮にCA19-9が強く染色された.術後CA19-9値は漸減し, 4カ月目には正常値となった. CA19-9は正常気管支腺にも存在し,高値を認めた場合,呼吸器系疾患も考慮する必要がある.
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